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2.プレカットの柱・梁 及び梁・梁 仕口(=部材取り付け部分)について
風荷重や地震荷重が十分に考慮されているか…
一定規模の木造2階建住宅は、構造計算の必要が無く、意匠図面をもとに、プレカット会社が柱・梁伏図(柱と梁の配置・断面を記入した構造図面)を作製します。
プレカット会社が作製しますので、ある程度正確な欠損断面(=部材取り付けのため削った断面)を考慮します。
このプレッカト図(=プレカット会社が作製した図面)の梁配置等を見ると長期荷重(=鉛直荷重---梁や仕上げの自重及び人や物の重量を見込んだ積載荷重)は考慮しているのですが、風荷重や地震荷重に抵抗する筋かいや耐力面材などの耐力壁が十分に耐力を発揮するような部材配置や断面の大きさまでは考慮していないものが多いように見えます。
詳細な構造計算を御願いしている訳ではないため、仕方が無いのかもしれません。
木造2階建でも構造計算を行っている会社がありますが、仕口の欠損断面の考え方が危険側で検討しているところも多く、十分な注意が必要です。
実際の欠損を考慮すると、初めの断面の約55~65%が欠損でなくなる梁部材も少なくないのですが、20%の欠損で済ませている設計者も多いのです。(使用している会社のプログラムにもよりますが、構造計算書のある方は、梁・桁・胴差の設計一覧の低減率で確認出来ると思います。多くの場合、20%の欠損を考慮している場合は、低減率20%と書かれています。)
構造計算された建物だからといって安心できません。
危険だと思われる箇所はプレカットの会社の方が断面の大きさ等で調整してくれている場合もあります。
プレカット図面についても設計者が責任を持つことになっているのですが、実際、構造設計していない建物の使用されている部材の全ての責任とるのは難しいと思います。
建設会社から検討を依頼されたプレカット図について地震や台風による水平荷重等を考慮した詳細な構造設計を行った時に、何度か、使用部材がOUTになったことがあったからです。
構造計算でOUTになったからといって直に壊れる訳ではありません。
構造計算は、不利側の条件が重なった場合の条件で検討しておりますので、その条件以外では余裕があるからです。
しかし、大きな地震や台風等が来た時は壊れる可能性がありますので十分な検討は必要です。
実際こんな例もありました。
木造(在来)2階建を建てるお施主様がプレカットの会社の方で、他社のプレカット図を基に行われていた自分の家の建て方を御覧になっていた時に、このまま建物が完成して長期荷重がかかるととても危険な梁が在るのに気が付かれ補強の梁を直に追加した現場がありました。
お施主様がプレカット会社の方で本当に幸いでした。
現場監督や設計者が先に気が付けば良かったのですが気が付きませんでした。
設計者の責任の重さを本当に痛感させられました。
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