1.住宅瑕疵担保保険の基礎構造の取り扱い

経済設計という名目で、設計が十分になされていない物件が数多く建てられています。

現在、経済設計という名目で基礎梁の設計がされていない物件が数多く建てられています。
極一部だけが、構造計算か工学的判断として認められる本を根拠にして基礎梁の設計がなされています。
これらの本は、(財)日本住宅・木材技術センターの木造軸組工法住宅の横架材及び基礎のスパン表か日本建築学会の小規模建築物基礎設計指針を指します。

住宅瑕疵担保責任保険(以下瑕疵担保保険)のための現場検査がありますが、設計図面に記載された配筋を検査するだけで配筋の根拠の確認はされておりません。
配筋を決める責任は設計者にあるのですが、構造検討されていない物件が数多くあります。
構造計算されないのは、木造2階建は一定の規模に満たない場合は、確認申請時に構造計算書及び構造図面の提出の必要が無いからです。
また、設計者が自分の責任で配筋を決める必要がある事に対する自覚がほとんどないからです。
これは、基礎梁に対する瑕疵担保保険の説明書の中に建設省告示第1347号に従って鉄筋を配筋しても良いと書かれているためだと思います。
これを使用するためには、建築基準法施工令第38条を満足する必要があり、結局、設計者が安全を確認した上で使用しなければなりません。
まるで、設計者が、建設省告示第1347号の最低配筋を何も考えずにそのまま使用することが選択可能であるかのように書かれているため勘違いしているのが原因だと思われます。
建設会社や瑕疵担保保険会社の標準図でそのまま基礎梁等の施工がされている建物もかなり在ります。
瑕疵担保保険会社のこの標準図でさえも、設計者責任にしており、構造上の根拠をはっきりさせないと使用出来ません。

結局、基礎梁等に問題が生じた場合は、工学的判断と認められる数少ない本か構造計算により安全の根拠を示さない限り保険がおりる可能性は非常に低いのです。

仮に基礎に問題が生じた場合、基礎の配筋は設計者責任になるため、設計者をお施主様が訴えて裁判になったとします。設計事務所の多くは、保険に加入しているところも多いと思います。
設計ミスの場合は保険の対称になると思いますが、このケースでは、設計者が故意に構造検討を省略したことになりかねないため保険がおりるのかとても心配です。その結果、設計者が、お施主様に多大な迷惑をかける可能性があります。

これらを避けるためには、設計者とお施主様の両方がこの内容を理解し、根拠に基づいた構造検討を行ない必要な鉄筋を基礎に配筋した建物を建てる以外方法がないと思います。
建設会社がこの内容を理解したとしても、他社との競争が厳しく、構造検討した基礎梁配筋で施工するとコストが上がるため、建設会社からお施主様に進言するのは難しいのが現状です。

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