5.まとめ

構造計算が必要かどうか、あなたの判断が求められます。

以上の内容を考慮して良い建物の設計を行えば多少施工費用は上がります。
お施主様自身が、この内容をよく理解して頂ければ幸いです。

構造に関して設計者は、出来る限り経済設計を心がけ、安心出来る建物を提供させて頂く事で、お施主様に喜んで頂きたいと考えております。

お施主様が御理解されながらも経済的なことから検討の省略を希望される場合もあると思いますが、建築基準法ぎりぎりで建てた場合の建物耐力は、大地震時(震度6強から7程度)や暴風時(名古屋気象台で記録された伊勢湾台風)に建物内の人が逃げられるまで倒壊しない程度です。

これまでの内容は、建物を建てるのに必要な最低基準の建築基準法内で検討すべき内容です。
しかしながら、木造2階建住宅は一定規模まで確認申請時に構造計算書の提出の必要が無く、設計者責任でよいわけですから、お施主様が、構造部分の内容について設計者責任として負ってもらいたいかを設計者と相談して決めることも可能だと思います。

もちろん、設計者がお施主様にその内容をよくわかって頂けるように詳しい説明をすることが絶対条件になります。
昔は、大工さんの技術で安全を確保してもらい、その後、建築基準法により少しずつ安全を担保する条件を厳しくしながら現状に至っていると思いますが、これは、大工さんを初め設計者や建築に携わる沢山の方が協力しあえば安全を確保できるという判断の基で、本来、構造計算の省略が認められてきたのでないかと思います。

ところが、姉歯事件の後、設計者と現場監理者が建物の全責任を負うことになり、お施主様が設計者に構造的な根拠を求めた場合には、設計者は、工学的判断できるものか構造計算等により安全を証明する必要があると思います。

その費用は、お施主様が負担することになります。
また、構造計算により、間取り等の変更ばかりでなく構造を含めた設計変更や補強が必要になれば、お施主様がこれも負担することになります。
設計者は、出来るだけ、お施主様のご希望に叶い喜んで頂ける設計を行うと思いますが、喜んで頂ける建物を追求し過ぎた場合、木造での設計が難しくなったり、構造計算せざるおえなくなる可能性があります。

このような建物を建築された場合、お施主様が後で不安になり第三者機関に建物のテェックを御願いすると、構造検討がされていなければ、当然のように構造的な指摘を受け、後で、構造計算で安全を証明せざるおえなくなると思います。

計画中の打ち合わせの時に、設計者に良く構造的な部分について説明を受け、構造計算が必要かどうか、お施主様が判断されることがとても重要だと思います。
今まで建てられてきた日本の特徴を生かした建物や、大きな吹き抜けや勾配天井を持つ建物の中には、構造計算により安全を確保しようとすると難しいものがあります。
このような建物の場合は、特に設計者に詳しい説明を受けて下さい。

木造(在来)2階建に対する建築基準法が、検討の仕方を含めてより単純化され、設計者責任が本当に構造計算を省略出来る内容に変更されるようになるか、お施主様自信が、構造詣計算を行うかどうか設計時に選択されるのが一番良い方法だと思います。

構造計算を満足させようとした場合、現在の木造3階建の構造計算と同等の内容で検討しますので厳しい条件になります。
構造計算を行う場合は、設計者と十分検討して頂いた上で決定して下さい。

こんにちは、わたしが千田文彦です 建築用語集